はじめての家づくり
-知っておきたい大事なこと-
▼目次
建物の構造①<基礎>
建築物の荷重を地盤に伝達する重要な役割を担っているのが「基礎」です。ここがしっかりしていないと、いくら上物を頑丈に作ったとしても、家が傾いたり床下が腐ったりしていきます。そうならないために、これまでもさまざまな形に改良がなされてきています。「基礎」とはどのようなもので、どのようにして作られているのか。家を建てる際はぜひ知っておきたいところです。

<基礎の形状>
●布基礎
鉄筋を配したコンクリートで、逆Tの字の断面を形作った基礎。下部の面積の大きい部分をフーチングといい、これが大きいほど荷重を分散して地面に伝えるので、不同沈下(ある部分だけ沈下すること)が起きにくくなります。フーチングの下には通常、捨てコンクリート(墨出しをするための、構造上意味を持たないコンクリート)を打ちます。また、布基礎とその上に敷く土台はアンカーボルトで緊結させます。布基礎は床下を密閉してしまうので、木部の防腐や防虫の目的で、外壁の長さ5m以下ごとに300㎤以上の床下換気口を設けます。最近では施工の簡素化と強度の向上を目的として、換気口を設けずに基礎と土台の間に厚さ2〜3センチ程度の樹脂製のパッキンを敷いて通気をとる工法も増えてきています。
●ベタ基礎
建物の柱が立つところだけでなく、全面に鉄筋コンクリートを配した基礎のことをいいます。面で力を分散させることができるため、地震対策として採用するケースが増えてきており、現在ではこちらの方が一般的となってきています。
<基礎の構造>
●鉄筋コンクリート
普段当たり前のように存在している鉄筋コンクリートですが、実は鉄とコンクリートはお互いの弱点を補う関係にあり、非常に相性のいい組み合わせなのです。その関係をいくつかご紹介します。
①鉄…引っ張り強度が強く、圧縮強度に弱い
コンクリート…引っ張り強度が弱く、圧縮強度に強い
②鉄…酸に触れるとサビが出てきて強度が落ちる
コンクリート…アルカリ性のため鉄の酸化を抑えることができる
③鉄とコンクリートの熱膨張係数がほぼ同じのため、温度変化に対して強い
・コンクリート
コンクリートとは、水とセメントと砂と砂利を練り固めたものです。コンクリートの材料から砂利を除いたものがモルタルです。セメントは石灰石、粘土、石膏(凝結調整用)などを原料としたもので、水と反応して熱を発しながら硬化していきます。コンクリートの強度は水セメント比(セメントに対する水の重量比)で決まり、通常のコンクリートでは、水セメント比は40〜70%とすることとされています。そしてコンクリートはJIS表示認可を受け、公認の技術者が常駐しているコンクリート工場で製造され、ミキサー車で固まらない状態のまま現場に搬入されます。
またコンクリートは硬化して十分強度を発揮するまで、通常4週間かかりますが、気温が低いと固まる時間が長くなりますので、冬場の基礎工事は夏に比べて期間がやや長くなります。
・鉄筋
鉄筋コンクリート構造に用いられる鉄筋は、一般に鋼の一種である軟鋼で作られ、主に引張力を負担します。施工の際には設計図に示された強度・形状・寸法などの鉄筋を使用します。そして施工する際は十分な強度が出るよう、配筋の密度やつなぎ方などが細かく規定されています。
- 定着長さ…基礎の立ち上がり部とフーチングとの埋め込みの長さを十分にとります。
- 継手(つぎて)…鉄筋相互をつなぐ部分を継手といい、位置や長さに注意して施工します。
- かぶり厚さ…鉄筋はある程度厚みのあるコンクリートで覆います。鉄筋の表面からコンクリートの表面までの最短距離をかぶり厚さといい、かぶり厚さが厚いほど耐火性・錆びの防止・鉄筋の付着性に優れます。
- あき…鉄筋相互の間隔をあきといい、十分にとる必要があります。あきが狭すぎるとコンクリートの十分な流入を妨げて空洞部が生じてしまいます。
<地業(じぎょう)>
建築物の荷重を支持するために、地盤の支持力の増強を目的とし、基礎の下に築造される(砂利、割栗、杭を設けた)部分を地業といいます。
●割栗地業
やや軟弱で隙間のある地盤の根切底の突き固めのために、割栗石(15センチ程度)を用います。割栗石はこば立てに並べ、隙間に目つぶし砂利(割栗石の30%必要)を埋め、突き固めます。割栗石を敷く幅は基礎幅より若干大きくします。割栗地業は、石がやや埋まる程度の粘土層などに適し、堅すぎる地盤や柔らかすぎるローム層などには向いていません。
●砂利地業
45ミリ程度の切り込み砂利(採取したままの砂利)などを50〜60ミリ厚に敷き並べて突き固めます。地盤が比較的よい場合に用いられます。
●杭地業工事
表面が軟弱で地耐力が弱い地盤に、地下の堅い層(支持層)まで杭を打ち込んで荷重を支える地業。堅い地盤まで深く打ち込んで、先端部分の支持力で支える支持杭(建築物の荷重が軽いか、支持地盤が比較的浅い場合)と、土との摩擦力で支える摩擦杭(軟弱地盤に軽いものを浮かす場合)があります。


地耐力とは?
地耐力は、地盤の耐力を意味します。地耐力が大きいほど、重い建物を支えることができます。地耐力は基礎を設計する際に必要な数値であり、家を建てる時は必ず調べなくてはいけません。
地耐力は、1平方メートルあたりどれだけの重さに耐えられるかを表します。一般的な土地の地耐力は3トン以上あります。また一般の2階建て木造住宅であれば、1平方メートルあたり0.8トン程度ですので、それより低いようですと何がしかの対策が必要になってきます。
これから土地を買われる方は、買う前に正確な地耐力を知りたいところですが、候補の土地が出るたびに費用をかけて行うわけにもいきません。そこで、まずは地形を見てみるとか、古くからその土地に住んでいる人に聞いてみるなど、できることからやっていきましょう。
よく地名に「沼」や「川」、「谷」など水を連想させる字が入っている土地は、地盤が軟弱であるか、大雨などで水が溜まりやすいと言われています。また、山を切り開いて造成された宅地では、盛り土や切り土を施して平らにした結果、同じ敷地内で地耐力が異なることも多いです。
仮に地盤が弱そうだったとしても、すぐにあきらめる必要はありません。杭を打ったり、地盤改良をしたり、必要な対策を講じることによって安全に家を建てることができます。とはいえ、その分余計な費用がかかるわけですから、トータルで予算を確保できるのか、そこまでして買うべき魅力があるのかなど十分に検討した上で判断しましょう。
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