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はじめての家づくり
-知っておきたい大事なこと-

▼目次

住宅に関わる法律③/知っておきたい住まいの法律(建築基準法など)



建築物には、建築基準法をはじめ、守らなければならない法律がたくさんあります。普段当たり前のように過ごしている住宅にも、実は法律で定められた多くの決まりごとがあって、工務店はその法律にのっとって家を建てています。どのような法律が関わっているか、主なものにしぼって紹介していきます。


<環境衛生に関する規定>

●居室の採光
住宅、病院、学校などの建物には自然採光が欠かせないという観点から、これらの居室では、床面積に対して一定以上の「採光上有効な開口部」の面積がなければならないと規定されています。例えば住宅の居室では、その床面積に対して1/7以上、学校の教室では1/5以上の採光に有効な面積が必要です。

ただし特例として、ふすまや障子など随時解放できる建具で仕切られた2室は1室とみなし、全体として有効採光面積が確保されていればよいとされています。また、天窓(トップライト)はその面積の3倍が有効採光面積とみなされます。

なお、住宅の台所については、床面積が小さく、他の部分と間仕切りなどで明確に区分され、調理のみに利用される場合は、採光が必要な居室から除外されます。

※居室の定義…居間、台所、食堂、寝室、書斎、子供部屋など、人が継続的に使用する室をいいます。玄関、廊下、トイレ、洗面室、浴室、納戸は居室ではありません。

※有効採光面積とは、窓の大きさを指すのではなく、隣地境界線からの距離や屋根のひさしなどを考慮した計算式で算定しますが、専門的な話になるのでここでは省略します。


●居室の換気
居室には換気のための窓、その他の開口部を設けるか、またはこれに代わる換気設備を設けなければいけません。窓その他の開口部を設ける場合は、その換気上有効な面積を、当該居室の床面積の1/20以上としなければいけません。

※換気に有効な開口部面積
換気に有効な面積は、実際に開放できる部分の面積となります。このため例えば、引き違い窓の場合はその約1/2が有効に、滑り出し窓の場合は45°以上開く場合は全面有効とされます。回転窓はおおむね全窓面積が有効です。


●居室の床高
最下階の居室の床が木造である場合には、床下の湿気を防ぐため、床の高さを45センチ以上とします。

*次にあげる仕様にした場合は適用除外となります。
①床下をコンクリート・たたき・その他これに類する材料で覆う場合。
②最下階の居室の床の構造が地面から発生する水蒸気によって腐食しないものとして、国土交通大臣の認定を受けた場合。


●居室の天井高
居室の天井の高さは2.1m以上とします。この天井高の算定において、室の部分によって高さが違う時は平均の高さによります。


●換気設備の設置の義務付け
原則的に居室を有する建築物には、常時換気(24時間換気)が可能な機械換気設備の設置が義務付けられています。


<地下室の規定>

●地階における住宅などの居室の防湿措置
住宅などの居室を地階に設ける際には、次の①?③のいずれかに該当することが義務付けられています。

①からぼり(ドライエリア)、その他の空地に面する開口部が設けられていること。
②換気設備が設けられていること。
③湿度調整設備が設けられていること。


<避難・防火等に関する規定>

●階段に関する規定
住宅の階段は、蹴上げ23センチ以下、踏面15センチ以上とします。回り階段の踏面は、幅の狭い端から30センチの位置で測ります。階段の有効幅員は75センチ以上とします。


●手すりの設置
階段には必ず手すりを設けます。ただし、階段の下部高さ1m以下の部分には不要です。また踊り場は、両側に壁またはこれに代わるものがない場合に手すりを設けます。階段の幅員を算定する時は、手すり・昇降設備(高さが50センチ以下のもの)の出幅を10センチまではないものとみなすことができます。10センチを超えた場合には、超えた分だけ階段幅から差し引きます。


●屋上・バルコニーなどの手すりの高さ
屋上や2階以上の階にあるバルコニーなど、外部空間に設けられる手すりの高さは、110センチ以上にしなければいけません。


●内装制限
内装制限は、建築物の初期火災の成長を妨げてフラッシュオーバー(爆発的な燃焼拡大)までの時間を引き延ばすために、部屋の壁・天井の仕上げを燃えにくい防火材料(不燃材料、準不燃材料、難燃材料)とすることで、建築物から安全に避難することを目的とした規定です。床は対象外。

基本的に特殊建築物や大規模建築物が対象になりますが、戸建て住宅でも火気使用室(調理室など)は制限を受けます。階数が2以上の住宅の最上階を除く階に設けた調理室は、壁・天井の仕上げを準不燃材料以上としなければいけません。つまり、2階建では2階の調理室、3階建てでは3階の調理室は制限を受けません。また、平屋も主要構造部が耐火構造である住宅(RC造の住宅など)の調理室は制限も受けません。

ダイニングキッチンのように、火気使用部分とその他の部分とが連続して一体となった場合は、連続するすべての空間が内装制限を受けますが、天井から50センチ以上下方に突き出した不燃材料でつくられた(または覆われた)垂れ壁(下がり壁)で相互が区画された場合、その他の部分は内装制限を受けません。

また、法でいう火を使う器具とはガスコンロなど炎が出る加熱器を指していますので、IHコンロは除かれます。したがってIHコンロのみを使用する場合は内装制限を受けません。

住宅の調理室などにおいては、内装制限をクリアするためには、壁と天井の仕上げを準不燃材料以上に仕上げなければいけません。準不燃材料の代表的なものとしては、厚さ9.5ミリの石膏ボードがあります。(厚さ12.5ミリ以上の石膏ボードは不燃材料で防火性能はより高い)これらを下地にして、壁紙や塗装で仕上げる場合、下地+仕上げを一体として防火性能を判断します。壁紙仕上げの場合では、壁紙の種類によっては準不燃材料仕上げとみなされないことがあるため注意が必要です。


<形態の制限に関する規定>

●道路と敷地に関する規定
建築物の敷地は、道路に2メートル以上接しなければならないと決められています。この義務を接道義務といい、火災時の消火活動と避難を有効とする目的があります。また、道路とは幅4メートル以上ある道のことをいいます。幅4メートル未満の道に接している敷地は、必要な道幅をとるためにセットバック(後退)しなければいけません。つまり、敷地が小さくなってしまいますので、もともと容積率いっぱいに建てていた家を建て替えようとした場合に、建て替え以前の床面積を確保できないことがあるということに注意が必要です。

*一般の道路の場合は道路の中心線から2m、道路の反対側が川・がけなどの場合は反対側から4mに道路境界線を設定します。


●建築物の面積に関する制限
建築基準法では、各種の指標によって用途地域別に建築物の面積を制限しています。
*容積率
「建築物の延べ床面積の敷地面積に対する割合」を容積率といい、建築物の床面積を制限します。
*建ぺい率
「建築物の建築面積の敷地面積に対する割合」を建ぺい率といい、建築面積を制限します。
容積率や建ぺい率は、住居系の地域ほど規制が厳しくなっています。これは住宅を敷地いっぱいに建てて、隣家の環境を悪くするのを防ぐ目的によります。


●建築物の高さ制限
建築基準法は、建築物の高さを制限しています。例えば、第一種および第二種低層住居専用地域内で、建築物の高さが10mまたは12m以下に制限される絶対高さ制限、前面道路の幅員で決まる道路斜線制限、北側隣地への日影を考慮した北側斜線制限などがあります。


●防火地域、準防火地域の建築物
市街地は人口密集地となり、火災の被害も拡大しやすいので、街の規模に応じて防火地域、準防火地域が指定されます。防火・準防火地域では燃えにくい建物を建てなければならず、それぞれ規定にしたがって建築物を耐火構造(RC造など)、準耐火構造(耐火構造に次ぐ耐火性能)などで建築する必要があります。
また防火地域または準防火地域内にある建築物は、その外壁の開口部で延焼の恐れのある部分(道路中心線・隣地境界線などから1階で3m、2階で5m以内の部分)に防火戸(網入りガラスなど)等の政令で定める防火設備を設けなければいけません。

※上の図では、1階の道路側以外はすべて「延焼の恐れのある部分」にあたりますので、開口部を網入りガラスなどにしなければなりません。

網入り窓ガラス


<住宅の品質確保の促進等に関する法律(品確法)>

従来から消費者には、住宅の性能に関する尺度がない、住宅の性能評価に関する評価・検査の信頼性に不安がある、住宅の品質に関する事業者とのトラブルが増大している、などの不満がありました。このような背景のもと、2000年(平成12年)に施行されたのが、住宅の品質確保の促進等に関する法律(品確法)です。

●瑕疵担保責任の10年義務化
従来、住宅供給者の瑕疵担保期間は2?5年程度でした。しかし品確法により、新築住宅(まだ人が住んでおらず、かつ完成から1年が経過していない住宅)は、瑕疵担保責任が10年になりました。たとえこれより短い期間で契約しても、法的に無効とされ、すべて10年とみなされます。なお、民法の定めを超えて、当事者間の契約により20年までの期間に延長することも可能です。

*瑕疵
欠陥とほぼ同じ意味で、引き渡す新築住宅の品質・性能として当初約束されていたものとは異なることをいいます。例えば、設計図書にしたがった施工が行われていなかったり、住宅が最低限有すべき性能が確保されていない場合などです。

*瑕疵担保責任
引き渡された住宅に瑕疵があった場合、その瑕疵を修理したり、賠償金の支払いなどをしなければならない責任をいいます。

*10年義務化の対象部分
①構造耐力上主要な部分(基礎・土台・柱など)
②雨水の浸入を防止する部分(屋根・外壁など)
これには設備機器、内部建具などは含まれず、住宅に付属するすべてが10年義務化されているわけではないので注意。一般的な経年変化も対象外です。


<住宅用火災警報器の設置義務>

2006年(平成18年)に改正された消防法により、すべての住宅に「住宅用火災警報器の設置」が義務付けられました。新築住宅だけでなく、既存住宅にも設置する必要があります。設置場所は①寝室(子供部屋なども就寝に使われている場合は必要)、②寝室がある階の階段。なお、キッチンなどは各地方自治体の条例で設置が義務化された場合は必要になります。

また、火災警報器の種類は、寝室と階段は煙感知式のみで、キッチンは煙感知式または熱感知式のどちらでもよい。


 
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