(7)建築業者の特徴
それでは、具体的に依頼先の特徴を見ていきましょう。
◎大手住宅メーカー:マスコミへの広告宣伝、総合住宅展示場への出展などの点では他を圧倒しています。したがって、地域のコミュニケーションの薄い都市部やその周辺のベッドタウンで大手住宅メーカーは強みを発揮しています。しかし、広告費や営業社員の人件費などにかかるコストのため、住宅の価格は高め。また、部材を規格化しているため、多少住宅を見慣れた人であれば、「あの家はどのメーカー、この家はどのメーカー」とすぐ見分けがつきます。
一時期、工務店は大手住宅メーカーに席巻されて生き残りが難しいのではと考えられたこともありました。しかし、現実はどうでしょう。国土交通省が発表している建築着工統計の中に「プレハブ化率」があります。プレハブ住宅メーカーと大手住宅メーカーは完全に一致しませんが、プレハブ化率はほぼ大手の動向を示しているとみて、差しつかえありません。これによると、一時期20%に近づいた数値は、このところ15%前後を推移しており、頭打ちの状態なのです。
大手住宅メーカーのシェアが停滞している理由はいくつかあるでしょうが、その一つが総合住宅展示場にあると考えられます。
大手メーカーは総合住宅展示場にモデルハウスを出展し、営業活動の拠点とすることで急成長を成し遂げました。しかし、その反面それが大手メーカーの限界にもつながったのです。
総合展示場には当然のことながら出展費用、モデルハウスの建築、維持費用など莫大な経費がかかります。通常、モデルハウスには最低でも四名程度の営業社員が常駐しています。つまり、四名の営業社員がある程度の営業実績を挙げないと、そのモデルハウスの運営は成り立たないということになります。
また、周辺の人口が少なく、来場者数の見込みがたたない地域には総合住宅展示場を開設することはできません。これを拠点としている住宅メーカーも、その地域では営業力を発揮できず、撤退するケースも少なくはないのです。
◎地域の有力住宅会社:特定の地域で大手と対抗できる程度の勢力を持つ住宅会社。これらの住宅会社は、地域企業という特色を出しながら、販売方法は大手メーカーにならっているケースが多いようです。また、地域に本社を構えながら、フランチャイズチェーンの本部となり、全国の工務店にノウハウを提供している企業もあります。
◎工務店:中小規模の住宅会社。工務店にもいろいろなタイプがあります。
独立自営型:注文住宅がメイン。つまり、営業活動、設計・施工を自社の管理・主導のもとで行なっている工務店です。
下請型:大手住宅メーカーや分譲会社の仕事を主に請け負っているタイプ。自社管理の注文住宅も造れないことはありませんし、大手企業の看板を背負っているため工事の精度は高いといえますが、独立自営型に比べると提案力は低く、積極性に欠けるといえるでしょう。
フランチャイズ加盟店型:フランチャイズ・チェーンはコンビニエンスストアなどでよく知られたチェーン形態ですが、住宅業界の場合、地域の工務店が自社の独立は保ったままで、商品ブランド、設計・施工技術、販売ノウハウ、建築資材などをフランチャイズ本部から購入して、顧客に提供するというシステムをいいます。数年前までは住宅フランチャイズは花盛りで、なんらかのチェーンに加盟していない工務店の方が少ないのではないかといわれてきました。
そこで、同じフランチャイズ加盟店でも次の二つのタイプを分けてみました。
・フランチャイズ主導型:コンビニエンスストアのように、経営者は独立しているとはいっても、その存在がわからないタイプ。つまり、フランチャイズのブランドを前面に押し出し、自社の看板は奥に引っ込めている工務店です。ユーザーにしてみれば、ちょっと見ただけでは、大手住宅会社の販売店に見えます。近年、当初の勢いは薄れ、上述した独立自営型の会社が増えているようです。
・加盟店主導型:加盟店(工務店)が主導権を握っているケース。住宅のフランチャイズといっても種類は様々で、住宅一棟まるごと扱うところもあれば、構造の一部やソーラーシステム、換気システムといった施工法や設備を提供するところもあります。後者のようなフランチャイズを必要に応じて選択し、あくまでも自社の看板を大きく打ち出しているのが加盟店主導型の工務店といえるでしょう。本書ではこのタイプの工務店を中心に紹介しています。
◎地場ゼネコン:ゼネコン(ゼネラルコンストラクター)は、商業ビルや公共施設、マンションなど規模の大きい建築物の設計・施工を主とする建設業者です。全国規模のゼネコンは名前もよく知られた大企業が多いですが、各地域にもこれらのローカル版といえる企業があります。これらの企業は全体的に個人の注文住宅受注には消極的でしたが、公共事業の大幅削減から、新規事業として取り組んでいる会社もここ数年多くなっています。
◎建築士事務所:住宅計画にこだわりの強い人は、テレビ番組や建築雑誌を研究し、自分の考え方や趣味にあった住宅を建てている建築士にまず話を持ちかけることがあります。しかし、一般のユーザーにとって、建築士事務所はなかなか敷居の高いものではないでしょうか。まず、第一に費用面での心配があります。工務店に直接依頼するより、間に建築事務所が入ることで割高になるのではないかと誰でも考えます。これは一面の真実ですが、逆に予算を固めた上で相談を持ちかければ、できるできないの白黒がはっきりしますし、一度引き受けてもらえばプロのアイデアと発想で予算内であれこれ手を尽くしてもらえるはずです。
建築士に依頼する場合、問題になるのは次のような点でしょう。
まず第一に、どうしてもデザイン重視になりがちだということです。建築士の好きな打ち放しのコンクリート住宅は、内側の壁まで打ち放しにすると夏は暑く冬は寒い家になります。部屋を明るくするために吹き抜けや天窓を盛んに使いますが、これも夏の日差しで室内が焼け付きます。建築士を起用するユーザーの多くは、こうしたことを勉強済みで理解した上で、依頼している人が多いようです。
次に、人気のある建築家(デザイナーともいう)は二、三年先までスケジュールが埋まっているということがよくあります。気長に待てる人でないとあきらめざるを得ないでしょう。
また、雑誌などの作品を見て指名する場合、建築士や工務店の所在地が遠方になってしまうケースが多くなります。したがって、施工後のアフターフォローが心配といえます。
先ほど指摘した、現場にあまり顔を出さない建築士の場合、施工が設計通りに行なわれないこともあるので、そちらも注意深く検討するべきです。
◎インテリアコーディネーター:インテリアを重視する人は、インテリアコーディネーターの作品を見て、住宅設計を依頼するかもしれません。コーディネーターの中には建築士の資格も有していて、住宅設計から請け負う人もいますが、多くは設計が別です。
インテリアコーディネーターは女性の比率が高く、一般的に男性の建築士よりも居住性や作業性が高く使い勝手の良い室内を計画します。しかし、フリーのコーディネーターはまだ数が少なく、私たちが仕事を依頼するのは、住宅会社や工務店を通じてというケースがやはり多いでしょう。