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(3)ロングライフ住宅のテーマいろいろ

それでは、ロングライフ住宅を実現するためのテーマについて具体的に見てゆきましょう。
◎高耐久性:ロングライフ住宅の最も基本的な要素です。高耐久性の要件には、地震に対する耐震性、火災に対する耐火性といった一時的な災害に対する強度と、時間経過に対する耐久性とがあります。
私たちは長い間、現状の住宅の強度について疑いを持たずに過ごしてきました。ところが、1995年に発生した阪神・淡路大震災を機に、その認識が甘かったことを思い知らされるようになりました。住宅の安全神話の崩壊により、ユーザーも住宅業界も住宅の基本性能について、一から見直してみようという気運が盛り上がったのです。
◎建築業者の信頼性:プラン・計画では安全なはずの住宅が、手抜き工事などにより欠陥住宅になってしまうことがあります。1998年に大きな問題となった第三セクターによる欠陥住宅事件は、基本的な性能にも満たない住宅が一般ユーザーに供給される危険性があること、また、ユーザーは自分の持ち物になる住宅の性能について、十分な知識を与えられないまま注文せざるをえないという現実を私たちに認識させる結果となりました。さらに、この事件の場合、第三セクターがすでに倒産していたことから、欠陥住宅をつかまされた住民の保証が宙に浮く形となりました。
この事件の反省から、後に説明する「住宅品質確保促進法」の「十年保証」などの規制が生まれることになりました。
そういう意味で、建築業者との長いつきあいという視点での「ロングライフ」も見逃せません。
◎健康住宅:住宅に暮らす人の「ロングライフ」を決定づける要素として重要なもののひとつが、住人の健康です。一九九六年頃からマスコミに集中して取り上げられた「シックハウス」問題は、新築住宅が住人に健康被害をもたらす可能性があるというショッキングなものでした。
 現在日本の住宅には、合成樹脂系の接着剤や塗料を使用した建材が必要不可欠なものとして使用されています。これら建材から発生する揮発性の化学物質、特にホルムアルデヒドによる健康被害がクローズアップされました。これにより、ホルムアルデヒドを発生させる物質の使用を減らそうという動きが、行政、民間企業の良縁から活発となり、製品の規格が変更されたり、ローリスクの製品や自然素材などが注目を浴びるようになりました。そしてその流れは、建築基準法に健康住宅関連の規制が盛り込まれることで、ひとつの到達点に達したのです。これについても、後に詳しく説明します。
◎バリアフリー、ユニバーサルデザイン:住人が「長寿」を達成し、高齢化したとき、なんの障害もなく暮らせるということもロングライフ住宅の要件だといえるでしょう。
 現在、日常的に耳にすることがあると思いますが、高齢化に対応し、床の段差をなくしたり、手すりをつけたりする計画を「バリアフリー」といいます。高齢者との同居の予定がある建て主はもとより、自分たちの将来を考えてバリアフリー計画を取り入れる建て主が増えています。また、最近では、高齢者や身体障害者に限らず、全ての人にとってやさしい住まいや製品作りを目指す「ユニバーサルデザイン」の考え方も徐々に浸透してきています。
◎SI(スケルトン&インフィル)住宅:長い間その住宅に暮らすうちに、住人のライフスタイルや家族構成は自然に変化します。これに対応する計画もロングライフ住宅には必要で、SI住宅の考え方もそのひとつです。S(スケルトン)は骨格の意味で、住宅においては構造体のこと。I(インフィル)は中身、すなわち内部の造作や設備機器のことです。このスケルトンとインフィルを分離して考え、スケルトンには高い耐久性を、インフィルにはライフステージに合わせた可変性を持たせることで、住宅の長寿命化を図るのがSI住宅です。
◎住宅のライフサイクルコスト:ローン負担による破産が日常化している現在、住宅の経済性についてはもっと重視されてしかるべきです。住宅を購入するときの価格の適正さは当然ですが、暮らし始めてからのランニングコストの低減も見逃すわけにはいきません。省エネであることはもちろん、修繕費など余計な出費がかからないことといった要件が求められます。建築費用、ランニングコストなどすべてを含めた住宅のライフサイクルコストにも注目しましょう。
◎防犯住宅:近年、住宅に侵入し財産をねらう侵入犯の数は全国的に急増しており、住宅の防犯強化は大きな話題の一つとなっています。例えば、破られにくい複層ガラスやピッキングが困難な鍵(キー)の取付けなど、防犯対策も住宅の欠かせない要素となっています。
◎快適性、利便性向上のための先進設備導入:住人の快適性、利便性向上も考えなければならないテーマのひとつです。床暖房、ソーラーシステム、IHクッキングヒーター、システムバス、システムキッチン、ホームシアターなど、生活向上のための最新機器などが次々に開発され注目されています。
◎高感度住宅:住人の感性を満足させる住宅。今いろいろな分野で「癒し」がブームとなっていますが、毎日を過ごす住宅こそ最も「癒し」を重視すべき空間ではないでしょうか。住人の感性にマッチした空間づくりが癒しの住宅を実現させます。そのためには生活動線等を熟慮し、インテリアにもこだわった空間設計が不可欠です。
◎エコロジー:これからの住宅計画には、自分の家と家族の幸せだけではなく、周辺環境への配慮が求められます。つまり、地球環境の「ロングライフ」です。環境問題に対応している企業に投資する信託が売り出されているように、住宅業界に限らず「環境対応」は、二十一世紀の企業経営に不可欠のキーワードとなっています。「地球環境保護のために」といわれてもピンとこない方もいるかと思われますが、その具体的な方策である「省エネ」・「リサイクル」・「低公害素材」・「緑化(ガーデニングなど)」といったテーマは、いずれも私たちになじみ深いものなのです。
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