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はじめての家づくり
-知っておきたい大事なこと-

▼目次

照明③<照明計画>


部屋別の照明計画の手順は、一般的に次のように進めていきます。

①その空間でどういった行為を行うのかを整理する。
②その行為に見合う光の量(照度)と質(光源)、光の方向(位置)などを考える。
③空間の目的、用途にあった照明方式および照明器具を検討する。


<照明方式>

照明計画を考えていく上で、まず知っておいていただきたい点があります。それは、「全般照明」と「局部照明」を用途によってうまく組み合わせるということ。これを押さえておくと、その空間をより快適に過ごすことができます。

●全般照明
部屋全体を平均的な明るさで照明する方式。暗がりがないので、空間に安心感を与える一方で、長時間いると退屈した雰囲気になりやすいといわれます。天井中央にシーリングライトを1灯だけ付ける形などがこれにあたります。

●局部照明
直接型配光を持つスポットライトやスタンド器具などで、特定の狭い範囲を照明する方式。空間に明暗のコントラストがつき、ドラマティックな雰囲気になりやすいですが、長時間在室していると目が疲れてくることがあります。

●局部的全般照明
局部的に高照度の照明をして、それが空間全体の照明を兼ねる方式。食卓上にコードペンダントを配置し、その反射光を全般照明とするダイニングルームなどがその一例です。

●タスク・アンビエント照明
作業面の局部照明(タスクライト)と、その周辺にやや照度を下げた全般照明(アンビエント)を併用する照明方式。アンビエントの照度はタスクライトの1/2〜1/3が一般的です。ほどよい明暗のコントラストによって、空間にリズムがつくということと、作業をする場所(例えば本を読む場所)を明るく照らすことで、ストレスなくその作業を行うことができるというメリットが生まれます。

<推奨照度>

住宅における照度の推奨値は、JISによって次の表のように規定されています。100lx(ルクス)の照度を実現するおおよその目安として、白熱ランプの場合が1畳あたり30W、蛍光ランプの場合は1畳あたり10Wが必要となります。

<部屋別の照明計画>

●リビング
JISでは全般照明50lxが推奨されています。テレビ視聴、読書、歓談、接客、仕事などのさまざまな生活行為に対応するには、1室1灯ではなく、省エネ性も高い多灯分散型の照明が望ましいでしょう。現在では、従来のシーリングライトのみで部屋全体を明るくする手法から、フロアスタンドやテーブルスタンドなども組み合わせ、必要なところを必要なだけ明るくする手法への移行が求められています。


●ダイニング
JISでは全般照明50lxが推奨されています。食卓上の照明にはペンダントが多く使用されています。演色性の高いランプを用いると、食べ物を美味しそうに見せることができます。器具は食卓の大きさとのバランスを考えて選び、目安として天板の長手サイズの1/2〜1/3を直径とする大きさのものがよいでしょう。大きなテーブルの場合は、テーブルを半分か1/3に分割して考え、2灯、3灯吊りを計画します。また、ペンダントの取り付け高さは器具の大きさにもよりますが、一般的に食卓面上より600〜800ミリに器具の下端がくるように計画します。


●キッチン
JISでは全般照明100lx、台所作業用の調理台の手元は300lxを推奨。手元灯はウォールキャビネットの下部に取り付けられることが多いですが、目に直接光が入らないように注意します。ガスレンジ上の照明は、湯気や熱の影響を受けるので1メートル以上離して配灯します。


●寝室
JISでは寝室の全般照明20lx、読書などのための局部照明500lxを推奨。睡眠ホルモンであるメラトニンの分泌を妨げる照明を避けるため、あたたかい光で目に眩しさのない照明を主体にします。ダウンライトを採用する場合は、足元の方にあたる位置に配灯し、顔にあたる位置にはつけないようにしましょう。スイッチは、部屋の入り口と枕元で操作できる3路スイッチが便利です。


●子供室
JISでは全般照明100lx、机上面への局部照明が750lxを推奨。子供の成長に合わせて明るさや器具の取付位置が容易に変更できる、フレキシブルな照明を考えましょう。


●浴室
JISの推奨は全般照明で100lx。浴室の照明器具は防湿型、または防湿・防雨型を選び、天井面または壁面に設置します。長時間の入浴には、リラックスできるよう電球色で演色性のよい光源を選びましょう。一方、高齢者の入浴には暗がりが生じないよう、安全のための明るさが必要です。


●洗面室
洗面室は浴室の影響を受けやすいので、照明器具は防湿型がよいでしょう。ひげそり・洗面・化粧のための局部照明はJISで300lx。鏡の照明は頭上に1灯のダウンライトでは顔に影ができて不健康に見えてしまいますので、鏡の上もしくは横に取り付けます。また、演色性の高いランプを用いると肌の色が正確に見えます。


●トイレ
JISでは全般照明75lxが推奨されています。スポット的な光ではグレアが生じやすいため、乳白グローブなどを通した拡散光が適しています。


●廊下・階段
JISでは全般照明50lxが推奨されています。高齢者のいる家庭では、やや明るめにした方がよいでしょう。廊下はダウンライトを1.5〜3メートルピッチで取り付ける手法が一般的。階段は天井灯1灯とすることが多いですが、できれば上り口と下り口の2カ所にブラケットを配するのがお勧めです。また、夜間安全に歩行するための足元灯は、明るさを自動的に感知して自動的に点滅するものや、人感センサー付きのものもあります。
足元灯:ODELIC

 
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