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はじめての家づくり
-知っておきたい大事なこと-

▼目次

浴室/洗面/トイレ/給湯設備


浴室・洗面・トイレなどのサニタリースペースは、家族が毎日使うデリケートな場所。だからこそ、ここを快適なスペースにすることが、家づくりにとって一番大事なポイントともいえます。それぞれのスペースについて、大事なところをしっかり押さえておきましょう。


【浴室】

<浴槽の材質>

●FRP浴槽
ポリエステル樹脂をガラス繊維で強化したもので、軽量かつ衝撃に強い。水にも強く耐久性は良好ですが、表面に細かい傷がつきやすいという欠点があります。

●人工大理石浴槽
FRP浴槽を改良発展させたもので、透明感があり、人気が高い。

●ほうろう浴槽
鋳造やプレスで成形された鉄の浴槽の表面にほうろう槽(ガラス質のうわぐすり)を溶着したもの。光沢と硬度に優れますが、硬いものをぶつけたときにほうろう層が欠けることがあります。


<浴槽の種類と構造>

浴槽の設置方式にはフラットな床に置く設置型、一段下げて置く半埋込型あるいは埋込型があります。また、浴槽側面の立ち上がり部をエプロンといいます。エプロンなし、1方エプロン、2方エプロンなどの種類があり、浴槽の配置や設置方法に合わせて選定します。



浴槽はサイズと深さによって、和風、和洋折衷、洋風に分類されます。深さは和風550〜620ミリ程度、和洋折衷500〜580ミリ程度、洋風400〜450ミリ程度ですが、肩まで湯に浸かれて脚も伸ばせる和洋折衷式のものが多くなっています。


<浴室ユニット>

浴室ユニットは工場生産のプレハブ浴室であり、ユニットバスあるいはシステムバスとも呼ばれます。床が一体成形のFRP製やステンレス製で、防水性能がよいため、①2階に浴室をつくることができる、②品質が一定である、③仕上がりが事前に確認できる、などのメリットがあります。

●浴室ユニットの分類
浴室ユニットには、工場出荷時に完全に組み立てたキュービック方式と、建築現場で組み立てるノックダウン方式がありますが、最近ではユニットバスの大型化にともない、ノックダウン方式が主流となっています。

構造による分類としては、床防水パンの上に据置浴槽を設置するフルパネル型(防水パン型)と、洗い場と浴槽が一体で形成されているハーフパネル型に大別できます。

また浴室ユニットには、洗い場(床)+天井+壁+浴槽によるフルユニットと、洗い場と浴槽だけがユニット化されているハーフユニットがあります。ワンルームマンションやホテルでは、浴槽+洗面器+便器がセットにされた「スリー・イン・ワン」と呼ばれる複合サニタリーユニットが用いられています。



●浴室ユニットのサイズ
下のような種類があります。1616(いちろくいちろく)タイプがちょうど1坪用です。(浴室と壁の間にできるデッドスペースを抑えた1717タイプもあり)1,200ミリの大きさの浴槽が入る1216(いちにいちろく)タイプも住宅ではよく利用されます。



【洗面化粧台】

<洗面化粧台と洗面ユニット>

洗面化粧台は、洗面器(洗面ボウル)に収納部が一体化したもののことで、それに化粧キャビネット(ミラーキャビネット)、小物収納棚、照明器具、コンセントなどが組み込まれています。この洗面化粧台の左右に収納キャビネットなどを組み合わせ、洗面化粧カウンターで一体化したものを洗面化粧ユニットといいます。


ハンドシャワー付きの大型洗面器の付いた洗髪化粧台、小型電気温水器内蔵タイプの化粧台、デザイン性とスペースの有効活用を兼ねた出窓タイプなど、付加価値製品も多くなっています。また、化粧品や洗面用具などを収納する奥行の浅い棚はメディシンキャビネットと呼ばれ、洗面所の壁面に設けられることがあります。


<造作洗面台>

メーカーが販売している「システム洗面台」に対し、オーダーメイドで造る洗面台を造作洗面台といいます。洗面ボウル、カウンター、タイル、収納、鏡、照明、水栓金具、タオルハンガーなど、すべて好きな素材を組み合わせてデザインします。システム洗面台より費用がかかる場合が多いですが、キッチンや浴室などと比べると、比較的安価で実現することができることから、造作洗面台をセレクトする人が増えてきています。造作洗面台を得意とする工務店も多いですので、ぜひ相談してみてください。

●造作洗面台施工例


【トイレ】

<便器の給水方式>

便器の給水方式には、水道の水圧をそのまま利用する方式と、いったんタンクに溜める方式があります。前者をフラッシュバルブ式といい、便器に接続された吸水管のバルブ(洗浄弁)が開くと一定時間に一定量の水が流れ、自動的に閉じます。この場合、水圧70kPa(キロパスカル)以上、給水管の太さ25ミリ以上が必要であり、住宅の水道直結方式による給水では、口径の制約により使用できません。(一般的な水道引込管の口径は20ミリ)

※給水圧は、Pa(パスカル)という単位で表します。給水管の水を1メートル上昇させるのに必要な圧力は10kPa(キロパスカル)です。


給水用のタンクには、過去の水洗トイレでよくみられたハイタンクと、現在一般化しているロータンクがあります。

ロータンクの構造は下図の通りであり、満水になるとボールタップによって自動的に給水が止まる仕組みになっています。また、ロータンクと便器が一体となったワンピース型も多くなっています。


<洗浄方式の種類>


●洗い落とし式
水の落差による洗浄のため、洗浄力が弱い。溜水面がもっとも狭いため、汚物が付着しやすい。

●サイホン式
洗い落とし式にサイホン作用による吸引力を加え、洗浄力を高めたもの。洗い落とし式より溜水面が広い。

●サイホンゼット式
ゼット孔から噴き出す水で強いサイホン作用を起こし、洗浄する。溜水面がもっとも広く、臭気の発散や汚物の付着が少ない。

●サイホンボルテックス式
便器とタンクが一体となったワンピースタイプで、便器にたっぷり水を張り、渦巻きをつくって吸い込む方式。洗浄力が高く、洗浄音が非常に小さい。ただし高価で使用水量も多い。

●ブローアウト式
フラッシュバルブ専用。強力なジェット噴射で汚物を吹き飛ばすため、異物の詰まりに強い(公共トイレに適する)。ただし、洗浄音が大きい。

●タンクレス式(ダイレクトバルブ式)
溜水面が広い。ロータンクをなくし、水道の水圧だけで洗浄する。水圧の低いところでは使用できない。


<便器の素材>

●陶器
土を固めて鋳物の型に流し込み、1,000℃以上の高温で焼き上げて作ります。陶器が便器に使用されてきた理由は、主に以下の3点です。

①丈夫
人の体重を支えなければならず、100キロを超える人が座っても耐えられる強度が必要。また、一度据え付けられたら数十年にわたって使い続けることになるため、時間経過とともにすり減ったり腐食したりしないことが求められます。

②清潔
はっ水性が高いため、掃除がしやすい点。きちんと掃除をしていれば清潔な状態を保つことができます。

③加工のしやすさ
外から見ただけではわかりにくいですが、便器は非常に複雑な形をしています。陶器なら鋳型に素材を流し込むだけで作ることができるので、大量生産に向いています。

陶器は非常に重く、施工者側は大変ですが、家庭用のトイレといえば陶器が一般的でした。しかし、近年は樹脂性のものが市場に出てくるようになり、軽くて施工が簡単、手入れも楽ということで、消費者の支持を急速に集めてきています。



【給湯器】

●電気温水器
昼間電力料金の1/3〜1/4に割り引かれる深夜電力を用いるため、ランニングコストはガスと同等かそれ以下になります。従来は日中にタンク内のお湯を使い果たすと湯切れしましたが、最近では昼間電力で追い焚きが可能な方式も登場しています。貯湯温度は80℃(大型のもの)程度で、貯湯容量は常時加熱することが可能な場合をのぞき、翌日の湯使用量以上を貯湯する必要があります。5〜6人家族では460リットルを目安とします。


●ガス瞬間式給湯器
給湯器の能力は号数で表示されます。号数とは、水温プラス25℃のお湯の毎分の出湯量を表すもので、大きいほど一度に大量のお湯を使うことができます。例えば水温10℃のとき、20号のガス給湯器は35℃のお湯を毎分20リットル、24号は毎分24リットル給湯することができます。号数の選定については、次の表を参考にしましょう。



<省エネルギー型給湯機器>

給湯設備が家庭エネルギー消費の大きな部分を占めるため、最近では省エネルギーの効果が期待できる新しい給湯器が普及しつつあります。代表的なものは、エネファーム、エコウィル、エコジョーズ、エコキュートの4種類。

●エネファーム
発電と給湯ができる家庭用燃料電池。都市ガスやLPガスなどから水素を取り出し、空気中の酸素と化学反応させて発電を行い、その時の排熱を利用してお湯もつくる、コージェネレーションシステム(一つのエネルギー源から、電気や熱など2つ以上のエネルギーを同時に取り出す仕組み)です。エネファームは、エネルギーを直接電気エネルギーに変換するため発電効率が高く、CO2の排出もないですが、初期導入コストが高価になります。

●エコウィル
都市ガスやLPガスを燃料とするガスエンジンで発電を行い、その時の排熱を利用してお湯もつくるコージェネレーションシステムです。エネファームより初期導入コストは安いですが、ガスエンジンを駆動させるため、振動や騒音が発生します。

●エコジョーズ
高効率のガス瞬間式給湯器。従来捨てていた約200℃の排気ガス中の熱を二次熱交換器で回収する「コンデンシング技術」を用いています。コンデンシングとは、排気ガス中の水蒸気を水に戻す(凝縮)ことをいいます。水蒸気が水になる際には凝縮熱(潜熱)を放出するため、その潜熱を回収することにより効率が高まります。このことから「潜熱回収型ガス給湯器」ともいわれます。

●エコキュート
ヒートポンプの技術により、外気の熱を汲み上げてお湯を沸かす給湯器です。冷媒には自然冷媒であるCO2を用いていますが、原理的にはエアコンと同じものです。ヒートポンプの特性上、寒冷地向きではなく、比較的温暖な地域に適しています。冷凍サイクルは電気エネルギー1に対して2以上の空気熱を使用するので、3倍以上の給湯エネルギーが得られます。また、夜間電力を利用することでランニングコストが抑えられ、CO2の排出もないため、地球環境にやさしい給湯器です。

 
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